Shinobu Ishizuka

「企業文化にはどのくらいの時期から取り組むべきですか」

こんな質問をよく受けます。

企業文化に取り組むのに「早すぎる」ということはありません。しかし、起業して間もない頃というのは、人数も少ないので意思の疎通がしやすく、また、従業員がみな創業者の家族や友人だったり、経営者自ら採用を行ったりするため、皆が同じ志や価値観を共有して、同じ気持ちで働けることが多いのです。

ところが、人数が多くなってくると、経営者が一人ひとりとつながりをもつことが難しくなり、採用の決定にも関われなくなってくるため、価値観にばらつきが出てきます。会社の「カラー」に会わない人が入ってくることが多くなるのです。

ですから、今までの例だと、従業員数が100人前後になった時に、企業文化への取り組みを正式に始めたという話をよく聞きます。この「100人」というのが、どうやらマジックナンバーになっているようです。私個人の意見では、企業文化への着手に「早すぎる」ということはなく、「早ければ早い方がいい」くらいに思っています。実際、私が個人的に知っている会社では、創業時からコア・パーパスやコア・バリューを定め、それを基盤に会社を創ってきた、というところがいくつもあります。会社の「中身(何を目的に事業を営んでいるのか)」に関心をもつ生活者が増えている中で、それが会社を「創る」うえでは欠かせないステップになっているのではないでしょうか。

記事/ダイナ・サーチ、インク 石塚しのぶ