コア・バリュー・リーダーシップ

アメリカの消費者の68%が「自分と価値観の異なる会社からは買いたくない」という、また、同じ消費者が「現在市場に出回っているブランドの大半(74%)は存在意義のないブランドだ」と厳しい判決を下している。現在、自分が常用しているブランドは、他に選択肢がないから惰性で買っているのであって、仮にそれらが明日この世から姿を消そうとも痛くもかゆくもないというのだ。

今日、アメリカで最大の消費者層を形成する「ミレニアル世代(1980年から2000年の間に生まれた世代)」は、「パーパス・バイヤー(目的志向の購買者)」とも呼ばれる。彼らは、自らの信条に合致しないブランドは「買わない/乗り換える/ボイコットする」と、主張が極めてはっきりしている。こういった新しいタイプの消費者の存在が、企業(マーケター)の常識を覆し、「ブランディング」の考え方やアプローチの刷新を迫っている。

一昔前までは、機能的価値や「憧れ」を誘うイメージが生活者の心をつかみ、消費に駆り立てるというフォームらが通用したが、それは過去のものとなった。企業が「何を信じるのか」「どんな目的達成のために存在しているのか」「どんな価値観を大切にしているのか」「どんな世界をつくりたいのか」という自己主張を明確にし、その主張をサポートするアクションをとることがブランドの「絶対的魅力」になる。先に触れたように、現時点ではそういったはっきりした主義主張をもたない「どうでもいい」ブランドが多いからこそ、企業が明確な意思表示をすることが圧倒的競争優位の確立につながる。

(注:本記事は、『コア・バリュー・リーダーシップ 石塚しのぶ著 PHPエディターズ・グループ』から抜粋、加筆、修正したものです。)