新型コロナウイルス感染拡大のため、いよいよ全都道府県に緊急事態宣言が拡大されました。私自身は現在、東京におりますが、毎日のように、ロサンゼルスにいるスタッフから、人口の95%が「ロックダウン」下にあるアメリカの緊迫した状況が報告されます。先週、アメリカの失業者数は2,200万人に達しました。ロックダウンに直撃された小売業界、飲食業界などはかなりの打撃を受けています。アメリカのレストラン協会によれば、コロナ・ショックの影響で全米の飲食店の少なくとも4分の1が廃業に追い込まれるだろうという予測です。コロナ後には、全世界が、「世界大恐慌」以来の不況に見舞われることはもはや不可避だと思われます。

コロナ・クライシスの影響で、現時点で休業を強いられ(あるいは選択し)、売上獲得の道をほとんどすべて絶たれているところ、また、売上が激減する中で、少しでも収入を得ようと工夫を凝らしているところ、あるいは、何らかの事情でコロナ・クライシスが需要の急騰を引き起こしその対応に追われているところなど、企業によっておかれている状況は様々だと思います。しかし、その中で共通しているのは、「この危機的状況の中で、企業として『何をするか』『どのように振る舞うのか』によって、会社の真価が問われる」ということです。

「ロックダウン」も「緊急事態宣言」も永久に続くわけではありません。コロナ後にどう回復・繁栄していくのか、皆で知恵を持ち寄って考え、準備することが、今後の会社の行く先や会社の結束に大きく影響すると思います。

経営者の皆さんは、もちろん、この厳しい状況を切り抜け、乗り越えるために「何を・どうすべきか」を日々、四六時中考えていることと思います。しかし、経営者だけが考えるのではなく、会社のリーダーがそれぞれ考え、一丸となって行動することが必要です。

アメリカのペンシルバニア州にある中小の靴の製造メーカーの話を聞きました。ペンシルバニア州が「ロックダウン(外出禁止令)」を発令した時、この会社の工場は、「エッセンシャル・ビジネス(生活基盤となるような必須事業)」ではないと判断され、休業を命じられました。お上の命令で休業はしたものの、この会社の経営者は、「世間の人たちが困っている時に、私たちが何もしないわけにはいかない」と考え、マスクを作って地域の医療施設に寄付することを思い立ったそうです。靴のメーカーですから、材料の布地もあるし、お針子さんもいるということで、それが「自分たちにできること」で、「世の中のためになること」だと判断したそうです。そこで急遽、州からの特別許可を得て工場をオープンし、有志8人の従業員が出勤してマスクの製造を始め、医療施設に寄付をしたそうです。

最近になって、ペンシルバニア州で外出時のマスク着用が一般の人にも義務付けられた際に、この会社ではその需要に応えるために自社サイトでのマスクの販売を始め、それが今では少なからず売上につながっている・・・ということなのですが、ポイントは、この会社が損得勘定抜きに「今、何ができるか」と考え、それに賛同した従業員がその実現に向けて立ち上がったことが、大きな力になったこと、そしてそれが地域の人たちに高く評価されているということなのです。

アメリカ中の至るところでこういった話が聞かれています。とある中小のアパレル・メーカーは、自社製品のネット通販は続けているものの店舗はすべて休業を強いられましたが、ただ「休業」するのではなく、有志の社員を募って社会貢献活動をしているそうです。同社のCEOは「こういう時に、共通の目的のもとに社員の心をエンゲージして、士気を高めることが重要だ」といいます。

今、会社として何をするか、どう振る舞うか。様々な選択肢があると思います。会社の中の個人も同じです。ただ「休業する」という選択肢もあるでしょう。「事業における次なる策」を考えるというのもアリです。これからどうなってしまうのか、心配や不安でパニックになって、思考停止してしまう/身動きできなくなってしまう・・・というケースもあるかもしれません。

しかし、今、この時間をどう使うか、が収束後の会社の行方に大きく影響します。こういった非常時だからこそ、会社の皆が一丸となり、知恵を出し合い、行動することから大きな力が生まれます。コア・パーパス(共通の目的・存在意義)やコア・バリュー(共通の価値観)が大いに力を発揮するのは今です。2008年、2009年のリーマン・ショックの際も、最小限のダメージで危機を乗り切り、早期に回復することができたのは、会社の中の人たちの心をひとつにする求心力をもつ会社でした。

「今、何ができるのか」「何をすべきなのか」・・・皆さんにもぜひ、考えてもらいたいと思います。

記事/ダイナ・サーチ、インク 石塚しのぶ