本記事は、コア・バリュー経営協会会員向け記事として作成されたものです(2016年10月26日)。

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会社のムードを修正するには

オフィスに一歩足を踏み入れただけで、会社の雰囲気はわかるものです。道徳的、あるいは倫理的に首を傾げるような言動があれば、その会社で働いたり、あるいはその会社と取引をしたりということを躊躇するでしょう。

また、従業員が皆ゾンビのように淡々と仕事をこなしているだけで、情熱も活気も感じられないような無味乾燥な会社はそれはそれでつまらないものです。オフィスの「無気力」さは、その会社の事業に対する姿勢や、文化や、顧客やサービスに対するアプローチの反映であるといえるでしょう。

来客の視点に立って、貴社のオフィスに足を踏み入れた時の気持ちを想像してみてください。社内の「エネルギー」は一体どんな風に感じられるでしょうか。

どの会社にも「ムード」があって、それは会社にとって毒にも薬にもなります。自分の会社がいったいどんな「ムード」なのかを正しく判断し、場合によってはそれを「修正」することが必要です。

会社の「ムード」を判断する確実な方法としては、次の二つがあります。

従業員に聞く: 職場について従業員がどう感じているか、それを頼りに会社の「ムード」を判断することができます。書面(ネットを含む)による従業員の意識調査や、よりカジュアルな形でのグループ・インタビューや集会などいろいろな方法があります。継続的に行い、変化や改善を記録追跡できるようにすることが重要です。
顧客に聞く: 顧客が「外部の人として」感じること。これも極めて重要な視点です。貴社の従業員に接する時の印象、オフィスに足を踏み入れた時の印象など、顧客の意見を聞いてみましょう。思いもよらないことでも、顧客が感じていることこそが顧客にとっての真実。それを把握することはとても重要です。

会社の「ムード」を把握したら、理想の形に近づくように改善に向けて工夫を施すことができます。頻繁に利用しているお店やウェブサイト、取引先などを思い浮かべて、その会社の「ムード」がどんなものか考えてみてください。どんな要素が、そういった「ムード」を創り出しているのでしょうか。

良い「ムード」を創る五つの要素

1. 快適で活気にあふれたフレンドリーな環境
2. コア・バリューがあり、会社のリーダー層がそれを日々実践している
3. 職場を楽しくする企業文化
4. 従業員がお金を超えた「やりがい」を感じていること
5. 従業員の学びと成長に会社が投資していること

「ムード」の良い会社と聞いて真っ先に頭に浮かぶのがザッポスです。ザッポスで買い物をすると、発注をした瞬間から商品が手元に届く瞬間まで、一貫して楽しく、サービスの行き届いた「ムード」を感じることができます。送料/返品無料などといった「ポリシー」から、サイトやコンタクトセンターを通した楽しく簡単なユーザー・エクスペリエンスに至るまで、顧客エクスペリエンスのすべてがその「ムード」づくりに貢献しています。

悪い「ムード」は一夜にして直せるというものでもありませんが、リーダーの強い意志と、目的意識の共有と、従業員の情熱があれば、好転させることは時間の問題です。

会社の現状としての「ムード」を正しく把握し、従業員の一人ひとりがその向上に貢献するよう促すことで、よりハッピーで、より結束が固く、より生産性の高い職場をつくることができます。「ムード」を創るのは会社の大多数を占める従業員です。もし、従業員に楽しく働いてもらえる職場を創ることができれば、顧客のロイヤルティや業績はその副産物として必ず実を結ぶことでしょう。

「ムード」を改善するには

【土台をつくる】
「会社がどうなりたいのか」というビジョンと、会社の中の一人ひとりが、自分の仕事についてその「業務」を超えた意義を感じることができる「コア・パーパス(存在意義)」を定めます。これは、トップ経営者から現場で働くスタッフに至るまで、すべての人にあてはまり、日々、簡単に思い起こすことができ、想起する人の心を奮い立たせてくれるものでなくてはなりません。

【コア・バリューを定義する】
従業員の協力も得たうえでコア・バリューを定義し、それに基づく「仕組み」をつくります。コア・バリューは職場におけるプライドを育むものであり、また自分の仕事に「誇り」をもつ従業員は日々、それにふさわしいエネルギーを仕事に注ぐものです。

【エバンジェリスト(伝道者)を募る】
会社のコア・パーパスやコア・バリューについて情熱をもつ人たちを集め、その人たちのアイデアを聞きましょう。何が会社の「ムード」向上に役立つかは、従業員が一番よく知っています。「企業文化委員会」を発足し、自薦他薦を募りましょう。委員会で自由にできる予算を設けて、自主的な活動をサポートしましょう。

【企業文化を育む】
オープンで明確なコミュニケーションと討議の場を設けることがキーになります。会社で何が起こっているのか、あるいは起ころうとしているのか、従業員に明確に伝達するとともに、功績のあったチームメンバーを取りこぼしがないように称えるようにしましょう。「会社が自分を気遣ってくれている」と感じてもらうことが、企業文化の育成に従業員を巻き込む上での絶対必要条件です。

(注:この記事は、米スモール・ジャイアンツ・コミュニティによるインタビュー記事に基づき、ダイナ・サーチが独自の視点や見解を加えて作成したものです)

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