本記事は、コア・バリュー経営協会会員向け記事として作成されたものです(2017年12月28日)。

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あるスモール・ジャイアンツのコア・バリュー・ストーリー(第二回)

コア・バリュー経営協会では、コア・バリュー経営の実践企業において、社員による「コア・バリュー・ストーリー」が共有されることを奨励しています。しかし、「コア・バリュー・ストーリー」と言われてもいったいどんなものかピンとこない、という皆さんのためにアメリカのスモール・ジャイアンツ(ペンシルバニア州フィラデルフィアにあるデザイン会社)の例を用意してみました。今日はその第二回です。

私たちのコア・バリュー:人にナイスにする

「人にナイスにする」ことは弱さの象徴であって、ビジネスの世界での成功要因ではないという人もいる。ビジネスの世界でいうところの「成功」とは、砂を噛むような努力や根性、固い意志、そして、「しごき」のたまものだという人もいる。「人にナイスにする」ことは、寄り道をするようなもので、人を「やわ」に見せるものだという。だが、私たちはそんなことは信じない。そんなことはデタラメだと思う。同僚や顧客に、自分がされたいと思うやり方で接しましょう、真心や、親切心や、尊重の念をもって接しましょう、というのはコア・バリューを定義する前から私たちが信じてきたことだった。まだ、片手で数えるほどにしか社員がいなくて、窓もないような部屋で、未来のことを夢見ていた時から、私たちは共に笑い、励まし合い、クライアントと肩を並べて、世の中をあっといわせるような仕事を成し遂げてきたのだ。その証拠に、それから何年もがたった今でも、心から「友人」と呼べるようなクライアントと私たちは一緒に仕事をやり続けている。

私たちの会社ができたのは、シンプルに、「私たちの働きたいような会社」が存在しなかったからだ。創業のグループは、理想の職場を探して多くの会社を渡り歩いてきた。どんな会社をつくりたいかは明確にわかっていた。どんな仲間を雇いたいのか、日々、どんな風にお互いに接するのか、私たちにとって何が大切なのか、この会社では何が評価されるのかを明確に定義した。「ナイスにする」ことは決して容易いことではない。多くの人がそれを実践しようとしないわけは納得できる。「人にナイスにする」ことは「弱さ」だなんてとんでもない。「ナイス」でいながら物事を成し遂げるのは努力を要することだ。だが、それだけ価値のあることでもある。

「ナイス」であることを貫き通すのか、それとも自分の苛立ちに屈するのか、選択肢はいつだって各自にある。しかし会社として、私たちは「人にナイスにする」ことを選んだ。実をいえば、これまでにそれが会社にとっていいことではないと意見した社員もいた。しかし、私たちはそれには耳を貸さなかった。「ナイスにする」ことを貫いてきてよかったと思っている。「ナイスにする」ことを重んじる人たちが決して「やわ」なわけではない。むしろ、とてもキレる頭をもっていて、自分や自分の意思というものをはっきりと持っている人たちだ。

*注:本記事は、米スモール・ジャイアンツ・コミュニティによるインタビュー記事に基づき、ダイナ・サーチが独自の視点や見解を加えて作成したものです

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