本記事は、コア・バリュー経営協会会員向け記事として作成されたものです(2017年2月23日)。

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企業文化の構築-中小企業から大企業へ-

医療分野に特化したコンタクトセンター業務代行サービス会社、ベリル・ヘルスは、三人の従業員と一台の電話から始まったファミリー・ビジネスでした。しかし、1985年から2012年の27年間で会社は従業員300人を抱えるまでに成長し、優れた企業文化をもつ会社として知られるようになりました。

2012年に、ベリル・ヘルスはグローバル規模で医療廃棄物の処理を生業とする大企業、ステリサイクルの傘下に入り、ベリル・ヘルスの創業者であり、CEOであったポール・スピーゲルマン氏は、ステリサイクルの「チーフ・カルチャー・オフィサー(CCO)」として企業文化の育成に携わることになりました。

【300人の会社に通用したことが、160,000人の会社に通用するのか】

ステリサイクルは創業以来25年の歴史をもつ会社ですが、18年間を通じて、予測を常に達成するか上回る業績を上げてきた経緯があります。ステリサイクルの企業文化は決してネガティブなものではなく、従業員ロイヤルティも高いものではありましたが、当時、新しくCEOに就任したチャーリー・アルット氏は、企業文化と共通の価値観でもって、広範囲にわたる部門・部署と、地理的にも分散した支社や営業所の結束を高め、ステリサイクルをひとつの統一された企業組織として飛躍させることができると考えたのです。

【既存の企業文化をいかにして「シフト」するのか】

CCOに就任して、まずはじめに、スピーゲルマン氏がやったことは、世界各地から40名のリーダーを招集しステリサイクルの「コア・バリュー」について話し合うことでした。

結果として、定義されたコア・パーパスコア・バリューは次のようなものです。

ステリサイクルのコア・パーパス
「人々とブランドを守り、健康を促進し、環境を保護するソリューションを提供することで、顧客である医療施設や企業が社会への約束を果たすことを支援すること」

ステリサイクルのコア・バリュー
● 誠実さ
他者との関わりあいにおいて、正直かつオープンであること。意思決定においても、常に正しいことをすること。

● 責任を果たす
自らの行動に責任をもち、問題の解決に焦点をおき、約束を果たす。

● ひとつのチーム。ひとつのゴール。
それが何であろうと、チームとしてゴールに向かい前進する。成功も失敗も分かち合い、改善に向けて切磋琢磨する。

● 顧客第一
顧客にとって価値あるサービス、期待を超えるサービスを提供する。内部顧客、外部顧客ともにそれぞれの価値を尊重する。

● 仕事を楽しむ
チーム・メンバーのエンゲージメントとロイヤルティを育成する文化を大切にする。仲間意識でもってそれに取り組む。

● 継続的改善
資源の節減に留意しつつ最大の価値を提供する。共に働く仲間の能力を認め、活かす。

コア・パーパスとコア・バリューを広めるにあたって、スピーゲルマン氏は以下の4つに焦点を置くことにしました。

● コミュニケーション
● 会社のビジョン/コア・バリューに基づいて日々行動するとはどういうことか、認識を高める
● 社員教育/人材開発
● 報奨/賞与

自社制作の動画などをフルに活用したステリサイクルの社内広報戦略は、文化やコア・バリューの浸透に大いに効果を発揮しています。今後の展開も注意して見ていきたい事例です。

(注:この記事は、米スモール・ジャイアンツ・コミュニティのインタビュー記事に基づき、ダイナ・サーチの見解や解釈を踏まえ、加筆・編集し作成したものです。)

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